大判例

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横浜地方裁判所 昭和44年(ワ)1620号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕<証拠>によれば、当時被告斉藤は被告小坂の夫である訴外亡小坂俊次と共同でジュークボックスの貸付、販売、修理業を経営しており、訴外亡水田静雄はその得意先であるレストラン「オークラ」のマネージャーをしていた関係で、お互いに交際があつたこと、昭和四三年一一月二八日も被告斉藤は右「オークラ」に訴外水田を訪ね、午後六時頃から同七時三〇分頃迄二人でビールを飲んだこと、そのころ訴外小坂が本件事故車を運転して「オークラ」に来合わせたので、今度は三人で戸塚に行き、同日午後八時頃から翌二九日午前零時三〇分頃迄、同所のクラブ、バーでビールや酒を飲んだこと、そして食事をするために再び「オークラ」に引き返すべく、本件事故車に乗り込んで戸塚を出発したのであるが、その際右三名とも自動車運転免許を有し運転することができたのであるが、被告斉藤は自分が比較的酔の程度が軽いと判断して訴外小坂に対し運転を申し出たこと、しかし同被告は当時呼気一リットルにつき0.5ミリグラム以上のアルコールを身体に保有し酒の酔のため注意力が散漫となり、前方注視が十分できない状態になつているうえ、更に同乗者と雑談しながら運転して本件事故を惹起したことがそれぞれ認められる。

ところで、被告小坂は、ほぼ右に認定した事実をもとに、本件事故車は当時もつぱら右三名の運行の用に供せられていたもので、訴外水田静雄は共同運行供用者と言うべく、自動車損害賠償保障法(以下自賠法と言う。)第三条の「他人」に該当しないと主張する。

よつて判断するに、成程本件事故当時本件事故車は右三名の飲酒、遊興のため使用されていたことは右認定の如くであるが、一方本件事故車は事実上訴外小坂とその妻である被告小坂の共同所有に属しその運行の用に供されていたこと(所有名義人が同被告であつたことは同人との間で争いがない。)、前記レストラン「オークラ」から戸塚に至る迄本件事故車を運転したのは訴外小坂であつたこと、当初の予定では帰りも同訴外人が運転することになつていたが、戸塚を出発する際、同訴外人は相当酔つていたため、被告斉藤が自らすすんで小坂に代つて運転することを申し出たこと、訴外水田静雄はこの間全く運転したことはなく、終始同乗していたにすぎないことがいずれも認められ、又、訴外水田静雄が日常的に本件事故車を使用又は利用していたというような特段の事情を認めるに足る証拠は全く存しない。

以上によれば同訴外人はいわゆる好意同乗者にとどまるものと言うべく、いまだ自賠法第三条の「他人」に該当しないとすることはできない。

二、ところで、訴外水田静雄が、被告斉藤の飲酒運転を承知のうえで本件事故車に同乗したことは明白である。そればかりか、そもそも同被告らは飲酒等の遊興のため本件事故車を使用したものであつて、飲酒運転に対するこのような警戒のなさはまさに驚くべきものがある。

従つて、被告斉藤の過失はまことに重大と言うほかないが、これとともに飲酒酩酊の上飲酒の情を知つてこれに同乗した訴外水田静雄の過失も亦、同被告のそれにいささかも劣るものではない。

よつて、被告斉藤の過失五、訴外水田の過失五の割合で過失相殺をする。

(若尾元 石藤太郎 西理)

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